鉄のリサイクル

Q. あまった鉄はどうするのか?
A. まとめて材料に戻すんです。

鉄のリサイクル_01

TVなどでは、鍛接だけでたいそうな技術ともてはやしますが、基礎の基礎です。
それを繰り返し、鉄片をまとめ上げ、原料に戻したり、地鉄の硬軟を変化させたり、やわらかい鋼、堅い鋼を混ぜ込んだり、素材の特性を変化させていきます。

現代では、鉄が尽きるより先に、石炭が枯渇するのが判明しています。
何よりもCO2排出環境問題がありますから、出来るだけ消費を減らしていく方向にあります。
だから、人類は真剣に原子炉による製鉄を考え研究していたりして、宇宙進出では特に必要になるので、重要な技術だったりします。

鉄のリサイクル_02

今現在はふんだんにある鉄ですから、現代の刃物作りの現場では、鉄の素材の再生なんて行うのはごく少数派です。
またステンレス系素材では、鉄のリサイクル作業は行うのが困難ですから、スクラップとして処分します。
私は、日常的に古鉄材料を使うので、端切れは当然捨てることなく、材料に戻していきます。

鉄のリサイクル_03

鉄素材よりも、燃料費の方がコストに影響します。江戸・明治時代では尚更でした。街中ほど、燃料である炭の運搬費用が増大していくからです。それでも、昔の人は鉄をまとめ上げて、再利用するのを当然のように行っていました。
ただし、扱っていると判りますが、極力燃料の消費を抑えて行っています。本当にギリギリの火力で、何とか形を作っている事が多いです。その手技には感嘆させられます。
また、野鍛冶なんてと農鍛冶を馬鹿にした風潮もありましたが、実際には様々な造形物を作り出し、その技術はやがて日本の近代化をささえ、蒸気機関を作り造船業や、鉄道、やがて自動車産業を支えていくことになります。
鍛造で作られた、100kgはあるだろう船の錨、十数kg以上もある蔵の扉の金具、実際には刀鍛冶とは違った方面で、はるかに高度な技術力を誇っていたと考えてよいでしょう。